目・耳の病気
角膜炎・結膜炎
ゴミやほこり、目の周りの毛が入るなど、物理的な刺激が原因で炎症を起こし、目やに・充血・涙目・浮腫などの症状が出ます。ウィルスや細菌による感染症やアレルギーが原因となって発症することもあります。
白内障
目が白く濁って見えます。視力に影響がでるため、物にぶつかる、段差でつまづくなど歩行時にふらつくことが多くなります。症状によっては、手術が必要です。
緑内障
目が大きくなる、目の色が変るなどの症状で気づくことがあります。強い痛みを伴うと食欲が落ちて、元気がなくなります。症状が進むと失明することがあるので、早期発見が大事です。
外耳炎
かゆみを伴うため、耳をこすりつける、引っ掻く、頭を振るなどの動作をします。炎症が進行すると、頭や耳の周辺を触られるのを嫌がります。臭いのする黄褐色の耳だれが出る事もあります。
中耳炎・内耳炎
外耳炎の炎症が中耳まで進行すると起こります。また鼓膜に穴が開いた時、細菌などの感染症が原因で発症することもあります。痛みが強く、耳を触られるのを嫌がります。ふらつく・転ぶ・くるくる回るなどの行動が見られます。
皮膚の病気
ノミアレルギー性皮膚炎
ノミに対するアレルギーが原因で、皮膚に炎症やかゆみが現われます。暖房設備が進化した近年では、年間を通じてノミの発生がみられるため、季節を問わず注意が必要です。
脱毛症
季節的に起こる脱毛と、病気が原因の2種類があります。病気が原因の脱毛では、部分的な脱毛と体全体の被毛が薄くなる症状があり、皮膚の変色・悪臭・かゆみを伴います。
皮膚腫瘍
皮膚のしこりが必ずしも腫瘍とは限りませんが、見つけた場合は、様子を見ていいものか早急に切除すべきものなかを確認するためにも受診することをお勧めします。
鼻・のどの病気
鼻炎・副鼻腔炎
鼻の中の粘膜が炎症を起こして、軽い場合にはくしゃみ程度、重くなると膿汁が出ます。炎症が進行すると副鼻腔まで広がり、蓄膿症になることがあります。
鼻出血
鼻出血は、腫瘍や血液の凝固異常などが原因で起こります。鼻出血があったら、出来るだけ早く受診するようにしてください。
循環器の病気
先天性心疾患
肺動脈狭窄症・動脈管開存症・心房中隔欠損・心室中隔欠損・大動脈狭窄などがあります。咳や疲れやすいなどの症状が出ることがあり、発育が悪くなることもあります。
弁膜症
心臓の心房と心室を隔てている弁が変成して、血液が逆流したり循環が悪くなる病気です。小型犬に多く、症状が進行すると、空咳や痰を吐くような咳をします。重症の場合は、失神・呼吸困難・心房破裂などを起こすこともあります。
狭窄症
全身に血液を送る大動脈や肺に血液を送る肺動脈が、先天的に狭いために起こります。大型犬に多く、失神することがあります。突然死する危険性もありますので興奮しすぎたり運動させたりする際には注意が必要です。
心室中隔欠損症
心臓内の中隔という壁に穴が開く先天的な心臓の病気です。小さい穴の場合は、無症状のことがありますが、咳・呼吸困難・成長不良などの症状があります。完治には、外科手術が必要になります。
拡張型心筋症
心臓を動かす心筋が機能障害を起こす病気で、大型犬に多く発症します。咳・呼吸困難・失神・腹水などの症状が起こります。不整脈を合併すると、短命になります。
肥大型心筋症
心臓を構成する心筋が肥大するため、心室が狭くなる病気です。血液の流れが悪くなるため、血栓症を起こすことがあります。咳や肺水腫・呼吸困難などの症状があり、血栓症を起こすと、後肢の麻痺を起こすことがあります。突然死するケースもありますので、注意が必要です。
フィラリア症(犬糸状虫症)
蚊を媒介として肺動脈から右心室にかけて寄生します。寄生虫が心臓に到達すると、心臓機能の低下・咳・腹水・むくみなどの症状を起こします。予防接種で防げる病気なので、感染させないように注意しましょう。
呼吸器の病気
気管支炎
渇いた咳・痰が絡んだ咳・鼻水などの症状があります。呼吸が荒くなり、発熱することもあります。重症化すると肺炎を引き起こします。
気管虚脱(気管扁平症)
老化や肥満などによって気管がつぶれて呼吸困難を起こします。肥満犬・小型犬・短頭種といわれる犬種に多く、暑い季節に発症しやすい病気です。重症の場合、大量のよだれを垂らす、チアノーゼ(舌が紫色になる)などの症状があり、倒れることもあります。
気管支狭窄
ゼイゼイと音のする呼吸が特徴的です。呼吸困難やチアノーゼを起こし、臓器腫瘍が原因の場合は、吐き気や痛みを伴います。異物を飲み込んだ時にも起こることがあります。
肺炎
気管支炎のような咳が出て、発熱を伴います。呼吸が早くなり呼吸困難や体力を消耗すると、死に至ることがあります。
肺水腫
顔を持ち上げるようにゼーゼーと湿った咳をしたり、呼吸が早くなったりします。ひどくなるとチアノーゼを起こし、四肢で立ったまま動くことが出来なくなり、死に至ることがあります。心臓病・気管支炎が進行して起こることもある緊急的な疾患です。
肺気腫
急性の場合、急激に呼吸困難が起こり、よだれを垂らす・泡を吹くなどして苦しみ、そのまま死に至ることもあります。慢性の場合は、軽い運動でも呼吸困難になるなど疲れやすくなります。
過激な運動が原因で起こる場合もあり、緊急的な疾患です。
横隔膜ヘルニア
先天的なものと、交通事故や落下などの衝撃が原因で起こる後天性のものがあります。先天性の場合は、嘔吐・下痢・咳などの症状があります。後天性の場合、呼吸困難になり、横になるのを嫌がります。重症の場合、チアノーゼを起こし、そのまま死に至ることがあります。
気胸
肺炎や腫瘍、交通事故や激しい咳き込みで肺に穴が開き、呼吸困難を起こします。重症の場合、チアノーゼを引き起こし、身体を触られたり、横になったりするのを嫌がります。自然気胸は、大型犬に発症しやすいと言われています。
脳・神経の病気
水頭症
小型犬に多く発症します。けいれん発作や運動失調などの症状があります。
パグ脳炎
進行性のけいれん発作を起こします。治療は困難なことが多いです。
がん・腫瘍の病気
内臓の腫瘍
近年では、犬の死亡原因で最も多いのが「犬のガン」です。ガンの原因は、ホルモン異常・遺伝・ウィルスなど様々ですが、はっきりした解明はできていません。
ガンや腫瘍は、できた部位によって初期症状も様々ですが、元気がない、食欲が落ちた、気になる咳が続くなど、愛犬のいつもと違う様子に気づいたら、できるだけ早く受診することが大切です。
特に、ガンの発症率が高くなる高齢犬は、定期的に健康診断を受けて、早期発見に努めるようにしましょう。